祈りの空間 蒼樹

335,500円(税込362,340円)

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祈りの空間 蒼樹は、【伏漆彩沈金】という技法で背面の美しいデザインを制作しています。
この技法は、江戸時代の面影を残す漆工の町・木曽平沢を拠点に、伝統工芸士として活躍されている漆工作家石本愛子氏が、漆塗りの素地に文様を彫り金箔・金粉を刷り込んで装飾する【沈金】の伝統技法をベースに、十数年前から沈金に顔料を取り入れた新たな手法に取り組まれ、試行錯誤を重ね確立した技法です。

伏漆彩沈金技法を用いて制作された祈りの空間シリーズは、まるで針の先端で彫刻したかの様な、細やかで繊細な彫刻が数百にもおよぶ数で刻まれています。繊細な彫刻技術が生み出す立体感と、伝統的な漆器のイメージを覆す愛子氏の豊かな彩色表現が見事な作品です。

サイズ:H 30×W 35×D30cm
主芯材:木質繊維版(MDF)
仕上 :木曽漆・伏漆彩沈金技法 
原産国:日本
製作 :うるし工房 石本玉水









木曽路はすべて山の中である。

「木曽路はすべて山の中である。あるところは岨(そば)づたいに行く崖の道であり、あるところは数十間の深さに臨む木曽川の岸であり、あるところは山の尾をめぐる谷の入り口である。」これは、明治時代から昭和初期の文豪「島崎藤村」の代表作「夜明け前」の冒頭文です。漆芸家・伝統工芸士「石本則男・愛子」さんご夫妻が主宰する『うるし工房 石本玉水』は、島崎藤村の夜明け前で描かれる中山道木曽路北の入り口、約400年あまりの歴史ある木曽漆の産地として知られる木曽平沢にあります。木曽の山々を縫って流れる清流、奈良井川が工房前をゆったりと流れています。







「うるし工房 石本玉水」の「石本愛子」さんは、漆塗の下地に文様を彫刻して、金粉や銀粉、金箔、プラチナ粉などを摺込む伝統の「沈金技法」をベースに、10数年前から新しい技法に取り組み、試行錯誤を重ねて、独自の色彩豊かな「伏漆彩沈金(ふししっさいちんきん)」と呼ばれる新しい技法を確立しています。伝統的な漆工芸のイメージと異なる、現代絵画を連想させるデザイン、豊かな色彩表現、マットな質感。伝統的な漆工芸のイメージと異なる、現代絵画を連想させる意匠・デザイン、豊かな色彩表現、マットな質感と、独創的で美しい作品を創作していることでよく知られている「石本愛子」さんです。

私たち「株式会社ふたきや」は、『うるし工房 石本玉水』・「石本愛子」さんさんと直接コラボレーションすることで、「上質な個性と大切にしたいセンス」をコンセプトとして、ハイセンスでおしゃれなブランド“Qualita”だけの「現代絵画をイメージさせる、美しい祈りの空間と位牌」を適正価格でお届けします。神戸市新神戸駅前の「竹中大工道具館」(2017年/神戸市)など日本各地で個展を開催し、工芸展で多くの受賞するなど、40年以上のキャリアを持つ漆芸家・石本愛子さんが、Qualitaだけに制作するプレミアムで数少ない「祈りの空間」と「位牌」です。







漆のものがあることで、そのまわりに心地よい空間が生まれる。そんなものが作れたらと思っております。『伝統的な沈金技法をもとにいろいろな素材からなる顔料を積極的に取り入れ、ファジーな優しい色合い、筆のようなタッチによるボカシなどで表現し、曖昧のある雰囲気のものを求めております。漆のものがあることで、そのまわりに心地よい空間が生まれる。そんなものが作れたらと思っております。』「漆彩賛歌 石本愛子 漆芸展 長野県伊那市 かんてんぱぱホール」 リーフレットより
  
2016年に信州ものづくりマイスターに認定。

2017年には、優れた技能を持ち県内産業の発展に功績のあった人を称える「信州の名工」に選ばれています。








伏漆彩沈金(ふししっさいちんきん)技法の工程

沈金の技法は、中国の創金が始まりでわが国には室町時代に伝わったといわれます。制作したい作品の構図などによりデッサンを重ね、デザインを起こします。沈金とは漆を「下地」に「塗り」、「研ぎ」の作業を何回も重ねます。色落ちを防ぐために透き漆を塗り、塗りあがった段階で沈金刀とよばれる特殊な刀で、線を一本一本、慎重により繊細に彫りながら図を構成していきます。彫りあがった後、全体に極上の漆を摺込み、間をおいてから拭き取ります。彫った部分に漆が残り、そこに金箔を貼り入れたり、金粉・プラチナ粉・顔料の色粉を溝の中に蒔き入れるなどして表面を拭き取り、室に入れて乾かして仕上げます。

●下塗り:1色につき6〜7回くらい、「塗り」・「乾かす」「研ぐ」の作業を繰り返します。

●中塗り:金粉やプラチナ粉・顔料の色粉などを混ぜた漆を塗り、漆の表面をよく整えるなどの作業を繰り返した後に、室(むろ)に入れて乾かします。その後に表面を平にする「研ぎ」を行います。塗り・乾かす・研ぎの約14〜15工程を作品によっても異なりますが、1色につき4〜5回繰り返します。

●色止め:色落ちを防ぐため透き漆を2回以上塗ります。

●彫り :沈金刀をよく砥ぎ、彫りを施します。

●仕上げ:生漆を塗り、生漆が接着剤になります。
・純金泊や純金粉を接着させ、最後の彩色を行います。
・室に入れて乾かして仕上げます。


■漆の作業用語補足

●「漆の研ぎ」とは:「漆を塗った面を平らに、滑らかにする」ことをいい、細かいサンドペーパーや普通の木炭とは異なる、特別に作られる「研炭(とぎずみ)」を使用します。

●「漆を乾かす」とは:漆の乾燥は日常生活などの水分蒸発による乾燥とは異なり、空気中の水分から酸素を取り込んで固まる化学反応によるものです。この化学反応には、適切な温度と湿度が必要となります。一般的には

・温度:20℃〜25℃
・湿度:75%〜85%前後
・環境:空気があまり動かない所
・乾く時間:普通の場合5時間〜6時間
・季節:夏季が早く、冬季は遅い梅雨期間中が最も早く、冬季に一晩かかるものでも、梅雨時期には20〜30分間で乾くといわれます。
・室(むろ):漆を塗った作品を乾かす室で、湿度を保つため水で濡らした布地を 垂らすなどして、湿度を調節します。







夕暮れが迫り、街並みに灯がともる頃は、江戸時代の木曽路を歩いているような懐かしい風景となります。漆芸家・伝統工芸士「石本則男・愛子」さんご夫妻が主宰する『うるし工房 石本玉水』は、中山道木曽路11宿、信州・長野方面から最初の宿場「贄川宿(にえかわじゅく)」と次の「奈良井宿(ならいじゅく)」の間宿、「漆工町・平沢」にあります。







山と山に挟まれた町並みに漆職人の工房が軒を連ねる平沢は、隣の宿場「奈良井宿」と共に,平成18年に「国の重要伝統的建造物群保存地区」に選定され、夕暮れが迫り、街並みに灯がともる頃は、江戸時代の木曽路を歩いているような懐かしい風景となります。石本さんとの打ち合わせが終わった、ある春の夕暮れ、私の前を小説「夜明け前」の主人公「青山半蔵」が、すげ傘をかぶり、足早に走り去ったように思えたのは、家並が夕やみに包まれたからでしょうか。作家「島崎藤村」は、「平沢」とは反対の木曽路11宿・南の入り口「馬籠宿(まごめしゅく)」(現在岐阜県中津川市)の出身で、馬籠には現在「藤村記念館」が建てられ、木曽路旧街道当時のままの風景が今も続いています。木曽11宿とは、江戸と京都を結ぶ主要街道の一つであった中山道のうち、急峻な木曽路にある11の宿場町の総称を指しています。

                       ☚ 京都:三条大橋へ − 江戸:日本橋へ ☛
美濃路落合宿 ― 馬籠宿 ― 妻籠宿 ― 三留野宿 ― 野尻宿 ― 須原宿 ― 上松宿 ― 福島宿 ― 宮ノ越宿 ― 藪原宿 ― 奈良井宿 ― 贄川宿 ― 信濃路本山宿
     
「木曽漆器」は別名「平沢漆器」とも云われ、木曽平沢で産するものが木曽漆器と呼ばれています。17世紀の初頭(江戸時代初期)に漆器製作が始まり、17世紀後半から18世紀初めには「平沢漆器」の名が世に知られています。明治時代に入って、堅牢な下地(したじ)つくりに欠かせない「錆土(さびつち)」粘土が、同地区平沢か発見されたことにより、この錆土を使用することで木曽漆器はいっそう堅牢になっています。







漆工芸では「下地つくり」が大切で、「上塗り」と同様もしくはそれ以上に難しく重要な工程とされています。漆製品の工程は大きく分けて「下地」と「上塗」と二つになります。下地は漆製品の基礎となるもので、素地の形を整え、堅牢にするために行われます。この下地つくりにも、漆が欠かせません。漆工程でこの下地つくりが大切で、上塗りと同様もしくはそれ以上に難しく重要な工程とされています。コスト削減や工期短縮などを目的として漆以外の代用品を使用したものは、代用下地ともいわれ、製品の仕上がりや耐久性に大きな違いが出てきます。『うるし工房 石本玉水』「石本則男・愛子」さんご夫妻は、特に「下地」を大事にする作風で知られ、石本愛子さんの「伏漆彩沈金(ふししっさいちんきん)」が50工程以上という大変な手間と技術を要するのは、この下地つくりを最も重要な作業と位置付けていることでもあります。Qualitaの新しい『祈りの空間・位牌』も、「下地つくり」のスペシャリストでもあるご主人の石本則男さんと、私たち「ふたきや」のスタッフでも打ち合わせを重ね、試作品を何度も制作しています。







石本さんは、ご主人の則男とともに作品の制作に追われるなか、漆芸グループ「Ai」を主宰するなど、漆芸製作実演、講演などに漆芸を広める活動に積極的に取り組んでいますが、主婦の仕事も待っています。お部屋やテーブルの上には、いつも季節の花や野の花があり、リビングもどこもピカピカにきれいに掃除されています。







私たち「ふたきや」のスタッフも打ち合わせのあと工房の奥にある住まいで度々、おいしいお茶をいただきます。住まいに入ると、お部屋やテーブルの上には、いつも季節の花や野の花が活けてあり、リビングやお部屋のどこもピカピカにきれいに掃除されています。そして、お茶とともに、石本さん手作りのお茶請けが供されます。季節の山菜を炒めたもの、梅をほんのり甘くつけたもの、あんずの甘露煮など、どれも珍しいものばかりで、とても美味しく、私も若いスタッフも少し恥ずかしいようですが、いつも完食です。石本さんご夫妻はいつも工房で制作に励み、漆と取り組んでいます。掃除や料理など主婦としての仕事が何時できるのか不思議でなりません。でもそういう石本さんご夫妻ですから、十数年の試行錯誤を重ねて漆の新しい作品つくりにチャレンジし、伝統的な漆のイメージを覆す、繊細で豊かな色彩表現による作品を創りえたのかもしれませんね。







それにしても、「石本愛子」さんの『漆彩沈金(ふししっさいちんきん)」技法』は、大変な作業の連続です。漆によって、美しいものを創りたいという強い気持ちと技術の積み重ね、手間と労力、根気、ご夫妻の協力、全てがあってこそ、初めて可能になったのだと思います。神戸市新神戸駅前の「竹中大工道具館」での『石本愛子漆芸展・漆彩賛歌 2018』リーフレットでの「展覧会によせて」の一文を掲載させていただきまして、「うるし工房 石本玉水」『石本愛子』さんの工房紹介の最後とさせていただきます。

『漆という素材に出会い、漆に魅せられて夢のように過ぎ去った歳月。漆工芸は長い歴史の中で育まれた日本独自の世界であり、先人たちが素晴らしい作品を残しておられるなかで現代をを語る作品が一点でもできないかと挑戦し続けておりますが、今更に厳しい道だと感じている昨今です。技術を身につけることも、新しい素材とかかわることも、造形を創り出すことも限りのない世界です。いつの時も失敗と発見の連続です。伝統の沈金技法をベースに、多色の顔料使いによる色の変化を、又墨色をポイントにした伏墨彩によるマットな質感とナチュラルさが表現できればとおもっております。今も試行錯誤の途上ですが、自然に思いを馳せた制作テーマで取り組んでいます。』うるし工房:石本愛子






石本愛子 漆芸家、伝統工芸士
現在 光風会会員、長野県展審査員、信州美術会評議員、塩尻市文化財審議委員、木曽高等漆芸学院講師

〈引用・参考文献〉
「新装合本 漆芸辞典」 編者 光芸出版 株式会社光芸出版       
「石本愛子漆芸展 漆彩賛歌」編集・発行 公益財団法人竹中大工道具館
「わが町の手仕事 沈金」 NHK長野放送局
「光る技能 信州の名工」市民タイムス 長野県の日刊地域紙・市民タイムス 
「伝統工芸品 木曽漆器」 伝統工芸青山スクエア WEBサイト
「木曽くらしの工芸館」「道の駅 木曽ならかわ」 WEBサイト
「木曽広域公式観光サイト 木曽路.com 木曽路の魅力(宿場)」木曽観光連盟 WEBサイト
「時めぐり 漆工町 木曽平沢」塩尻市観光協会  WEBサイト
「藤村記念館」財団法人 藤村記念郷 WEBサイト

その他、新聞、雑誌WEBサイト等の記事を参考にさせていただきました。ありがとうございました。